恋愛倶楽部 -love-



「先部屋行ってて、階段あがってすぐのとこ。
俺もシャワー浴びてくる」


あたしの肩をポンと軽く叩いて通り過ぎる。

と、視界に入ったのはお姉さんの面白くなさそうな表情。



「アタシのプリン返せ!
このバカ弟」


そばのソファーを蹴って、文句を飛ばすその姿。


……正直、怖いです。




愛想笑いを浮かべて、できるだけ存在感を薄くして階段へと向かう。


玄関からリビングまでの間に階段があるから、場所はわかるんだけど。

勝手に人の家彷徨くのもヤダな。


不法侵入者みたいな気分。

その割に牡丹の家では、なんとなく遠慮しないでいられるんだよね。

仲の良さとかも関係してるんだろうか。



で、えーっと、階段をあがってすぐの部屋だよね。

ここかな?

言われた通り、最初に見えたドアを開けようと前に立つ。


ドアノブを握って、いざ中へ。

思い切って開ける勇気はなく、慎重に恐る恐る開けた。


誰かの自室に潜入なんて、いつぶりだろう。

何があるのかなって、ちょっとワクワクしてきちゃう。



部屋に入ってすぐ見えたのは、上に漫画が散乱したベッド。

読み途中だったのか、真ん中あたりのページを開いたまま逆さまになってるものもある。


机には、教科書やノートが出しっぱなし。

果たして、ちゃんと勉強しているのかどうか。






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