恋愛倶楽部 -love-
な.何なんだ。
ナニコレ。
いじめ?
あーもうっ、何なの。
何を混乱しちゃってんの。
おかしい、おかしいおかしい。
しっかりしろ自分。
「ねえ、ゆずゆ」
落ち着きたいのに、やっぱり近い。
距離が必要以上に近い。
シャワーを浴びたからなんだろうけど、いい匂いするし。
いつもみたいにヘアピンをしてないから、長い前髪があたしの額にかすかに触れる。
「目、めちゃくちゃ泳いでるけど」
フッと笑った凪兎の吐息が、あたしの口元を掠めた。
同時に、パニックを通り越して身体が硬直してしまう。
何か言いたいのに、声が出ない。
でも言いたいのは、不思議と拒絶じゃなくて。
ドキドキしすぎて苦しいから。
だから、離れてほしい。
少し目線を動かしたのなら目が合う。
それが無理なんだ。
どうしようもなくて、瞳をぎゅっと閉じて光を遮断。
そばから重心がずれるのと一緒に、ギリギリ触れるくらいのもどかしさで指先が頬を伝って離れた。
「こういう時は、抵抗しろよ。
殴っていいから」
それから、先程よりも遠くから聞こえる呆れた声。