恋愛倶楽部 -love-
ゆっくり目を開けながら起きあがると、凪兎は立って棚にアルバムをしまっている最中。
背中を向けられてるから、表情は見えなかった。
はぁー‥びっくりした……。
ほっと胸をなで下ろし、深呼吸。
まだ、ドキドキしてる。
「あ、そういえばさ」
なのに、正反対に相手はいたって普段通り。
この心拍数と態度の違いは何だろうか。
もう話を切り替えて、何事もなかったかのように隣に座って話を続けてる。
あたしなんか、今隣に座られただけで身震いしたってのに。
「いきなり電話して、ごめん」
「へ?」
「電話した時【消えて】って言われたからさ」
あぁ、そっか。
風音がそんなこと言ってたっけ。
「いきなり切られるし驚いたよ。
あんたに何かあったんじゃないか、って」
言われてみれば、何もなかったわけじゃないんだよね。
気まずさだけは、そのまま雰囲気に残っちゃったし。
奏斗も風音も、黎緒先輩も、どう思ったんだろう。
あたしが隠し事してること。
「凪兎はどうして、いたの?」
どこに、という修飾語は必要ない。
わかってるはずだから。
言葉の意味を。