恋愛倶楽部 -love-
鼓動の加速に比例して、雨の地を濡らす音が大きく聞こえる。
触れた指先。
重なった声。
「「指切った」」
そうして離れた互いの指は、目的をなくして下ろされていく。
長居するわけにもいかず…牡丹の家に戻らなきゃだし。
名残惜しいけど。
「迷惑かけてごめんね。
もう帰るから。
みんなに心配させちゃ悪いし」
もう……バイバイだね。
あんなヒドいこと言っちゃったけど、みんなは心配してくれるのかな?
【仲間なんていらない】なんて、真っ赤な嘘だ。
本当はみんながいないと、ダメなのに。
「じゃ、送るよ」
玄関まで来て、凪兎が傘を手に取った。
「あれ、もう帰っちゃうの?」
すると、ひょこっと顔を覗かせたお姉さん。
片手にはチョコレート。
どうやらテレビを見ながら、休息中だったらしい。
「お邪魔しました」
一礼して靴を履けば、
「また来てね〜」
笑顔で手を振ってくれる。
相手が笑顔だと、自分も笑顔になれる。
素敵な連鎖反応だ。