恋愛倶楽部 -love-
口説き中の奏斗に近寄って、低い声で呟く。
「あー?後にしてくんね?
今いいとこなんだって」
「一生のお願い。
いっぺん死んで」
心の底からお願いします。
いっぺん、いや今すぐ天に召されてください。
「なんだよ、やきもちー?」
「てめぇなんざに、誰が妬くか!」
どうしたら、そんなポジティブシンキングができるわけ?
したくないけど、尊敬するわ。
「だってそれ、反動形成じゃん?」
「なに?はんどー‥?」
「だから、反動形成。
好きな人とかに、想いと逆な態度取っちゃう現象」
なんか難しいこと言ってる。
成績がうしろから数えるほうが早いあたしにとっては、通じないお話ですよ。
ただ、言えるのは、あたしは全然奏斗に恋愛感情を持っていないということ。
「お名前、聞いてもよろしいですか?」
あたしたちの言い争いを遮るようにして、牡丹は横を通り過ぎた。