恋愛倶楽部 -love-
「凪兎はさ、どうしてあたしと一緒にいてくれるの?」
唐突すぎる質問だし、意味わかんないのも承知。
でも聞かずにはいられなかった。
「どうして、って………」
また、あたしのせいで困らせてる。
人通りの少ない狭い道には2人だけ。
「約束したから」
「約束?誰と?」
「んー、それは内緒」
下を向けば水たまり。
雨がよりいっそう強くなる。
むしろ雨しかここには存在しないみたいに、他の音がかき消されてて。
広がる波紋をつくるのは、降り続く天水かそれとも───
「でもそれは建前。
本音は……一緒にいたいから、かな」
今は泣かない。
泣きたくない。
たとえ嬉し涙だったとしても、流したくなかった。
だって
「そっか……ありがとう」
あなたには、笑顔を向けていたい。
「うん、やっぱり礼言われるほうが気分的にいいや。
これから、ゆずゆは謝ったら罰金ってことで」
「え、なにそれ卑怯!」
「謝んなきゃ平気だし、簡単簡単」
「全然簡単じゃないっ!」
あたしね、雨が好き。
だからどうか、意地悪しないで。
隣を歩く凪兎の声だけは、かき消さないでください。