恋愛倶楽部 -love-
牡丹の家の玄関先まで送ってもらって、傘から出る。
「またね」
また……会えるよね?
「じゃあ、また」
答えて軽く手を振ってくれると、すぐに背中を向けた凪兎。
差したままの傘をくるくる回転させながら歩いてく。
それが可愛くて、思わず零れた笑み。
姿が見えなくなってから、玄関の扉をひっそりと開けた。
「おじゃましまーす…」
小さい声で挨拶して、みんなで集まっていた部屋に向かう。
あたしは不法侵入者か、ってツッコミたくなるけど気にしない。
誰かいるかな?
いたらどうしよう。
謝ったら許してくれる?
【これから、ゆずゆは謝ったら罰金ってことで】
そう言われても、明らかにあたしが悪いんだし。
どうすれば、いいの?
閉まりきった部屋の扉の前で、深呼吸を繰り返す。
中から声が聞こえないから、ひょっとしたら誰もいないのかもしれない。
それでも緊張して、手のひらが汗ばんだ。
覚悟を決めて、恐る恐る開ければそこには───
朝同様、敷き詰められている布団。
はぁー‥なんだ、誰もいないんじゃん。