恋愛倶楽部 -love-
今の近所迷惑になってませんように。
あたしのせいで牡丹の家に苦情なんか来たら困るからね。
にしても、てっきり絶賛お昼寝中だったのかと。
「いや、けっこうぐっすり眠ってたよ」
…ですよね。
あたしを見上げる瞳が、いつもよりほんのり潤んでて。
広がった長めの髪が、光を浴びて綺麗だった。
「みんな蘭さんを知らない誰かに渡したくないんだよ」
「へ?」
不覚にも見とれていると、またもいきなり告げられて。
渡したくない、って?
あたしを?
誰に?
「好きなんじゃないの?」
「えっ」
誰を?
話を理解できなくて、質問に答えられない。
それを見かねたのか、黎緒先輩が続けた。
「昨日の夜、話してなかった?
松永くんと本伊さんと」
次の瞬間注がれた笑顔で、すべてを悟った。
「先輩……昨日起きて───」
「起きてたよ。
本当に寝てたのは明日くんくらいじゃないかな?」
だとすれば、風音も起きてたかもしれないってことになる。
「凪兎って人?
それとも、まだ亜蓮が好き?」
あたしは………。
鼓動が高鳴る。
理由は、まだ曖昧で。