恋愛倶楽部 -love-



今の近所迷惑になってませんように。

あたしのせいで牡丹の家に苦情なんか来たら困るからね。



にしても、てっきり絶賛お昼寝中だったのかと。


「いや、けっこうぐっすり眠ってたよ」

…ですよね。


あたしを見上げる瞳が、いつもよりほんのり潤んでて。

広がった長めの髪が、光を浴びて綺麗だった。


「みんな蘭さんを知らない誰かに渡したくないんだよ」

「へ?」


不覚にも見とれていると、またもいきなり告げられて。


渡したくない、って?

あたしを?

誰に?



「好きなんじゃないの?」

「えっ」

誰を?


話を理解できなくて、質問に答えられない。

それを見かねたのか、黎緒先輩が続けた。


「昨日の夜、話してなかった?
松永くんと本伊さんと」

次の瞬間注がれた笑顔で、すべてを悟った。


「先輩……昨日起きて───」

「起きてたよ。
本当に寝てたのは明日くんくらいじゃないかな?」


だとすれば、風音も起きてたかもしれないってことになる。


「凪兎って人?
それとも、まだ亜蓮が好き?」


あたしは………。


鼓動が高鳴る。

理由は、まだ曖昧で。






< 265 / 432 >

この作品をシェア

pagetop