恋愛倶楽部 -love-



変なとこまで鋭いから。

言い返すことも、誤魔化すことも叶わない。



それに、すっごく悔しいけど抱きしめてくれる腕に生まれる安心感。

間近で見つめ合っても、やっぱり相手の瞳は笑っていなかった。


ちょっとでも動けば事故。

このまま目を閉じたなら、キスしてくれるのかな?

なんて、考えるあたしはいったい何がしたいんだろう。



誰かに優しくしてほしいだけかもしれない。

甘えたいだけかもしれない。


だから、こんな時は真っ先に頭に浮かぶ人。



【一緒にいたいから、かな】


なんでだろう。

亜蓮じゃなかったよ、今あたしが会いたいって思ったの。



「黎緒先輩、好きって何ですか?」


情緒不安定って、きっと現状を言うんだろうな。

自分の気持ちが、自分でわからないもん。


「恋路の闇」

「こいじ?」

「恋して理性を失うこと。
好きすぎると、その人しか見えなくなっちゃうよね」


解説しながら、そっとあたしの頬に手を添える。

心臓がドクンと、大きく脈を打った。



「痘痕も靨、惚れた欲目」

あばた……って?


「惚れると欠点も長所に見えること」






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