恋愛倶楽部 -love-
「大丈夫ですか?
顔色が悪いみたいですけれど」
あたしと寿羅しかいない教室。
それでも、失礼しますと断ってから入って
「体調が優れないのなら、無理することないと思いますよ」
優しく気遣ってくれる。
なんて素晴らしい女の子だろう。
とてもじゃないけど、あたしには真似できない。
真似しようとも思わないけど。
無駄な努力で終わりそうだし。
「大丈夫だよ」
力なく答えて、椅子から立ち上がる。
大丈夫。
具合が悪いわけじゃない。
悩みが心を霞めているだけなんだ。
逃げたら終わりだもん。
向き合わなきゃ。
仲間とも、敵とも。
「つーか、なんで避け合ってんだよ」
今さらながら、投げかけられる疑問。
そうか、寿羅は出かけちゃったから成り行きを把握してないんだっけ。
「そういえば、奏斗さんはどちらへ?」
クラスが違うため、牡丹も何も知らない状態で。
「知らない」
ぼそっと答えたあたしを見て、首を傾げた。
向かいの机の上に座った寿羅は、あからさまにため息。
仕方ないじゃん。
本当に知らないし。