恋愛倶楽部 -love-



例えば部活動のメンバーみたいに、とさらに付け加えて。


同じ目的ってことは、味方でいてくれるってこと。

だったら、今牡丹はきっとあたしの仲間だ。


場合によっては、目的が同じだからライバルになるかもしれない。

果たして、それでも仲間と呼べるのか。

仲間の境界線が、曖昧すぎる。



「友達は仲良しな人のことじゃないでしょうか」


仲良しな、人………。

自分に問いかけてみるけど、本当のところはわからない。



ねぇ、仲間になれないのは、目的が違うってことなの?

だとしたら、目的って?


友達でいるってことは、仲良しだって思っていていいのかな。




「少しはお役に立てましたか?」

心配そうに、でも優しく尋ねられ

「うん、ありがとう」

頷きながらお礼を告げた。



日本語って、難しい。

本当の意味は、言った本人だけが知っている。


あたしに、何を伝えようとしてたんだろう。





夕影が、少し乱れて並んだ机を照らす。

放課後の時間は無常に過ぎて。

どこからか聞こえてくる楽器の旋律に、自然と心を落ち着かせていた。






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