恋愛倶楽部 -love-
だから、裏切り者なんて言ったんじゃないの?
けど、だとしたら、どうして止めなかったんだろう。
あたしが凪兎と会うことも、話すことも。
状況を理解しているなら、止めたっておかしくないはずなのに。
何ひとつ文句を言われた覚えがない。
それは、大して気にしていないから?
あたしを信じてくれているから?
混乱も、動揺も、溢れ出して表情に出てしまう。
今、どんな顔をしているのか自分でも想像できないけど………
「待って!」
背中を向けた凪兎を、追いかけずにはいられなくて。
嫌なの。
このまま引き止めなかったら、きっとキミは遠くに行ってしまう。
それだけは、嫌だ。
「行かないで」
相手の左手を右手で掴む。
見えた刻印に、胸が苦しくなった。
「今日で……終わりなんて言わないで」
小さな声が零れ落ちる。
凪兎はこっちを向いてはくれない。
「電話、かけるならもっと大切な人にしなよ」
口調はどこか優しいのに、消えてくれない感覚。
どうしても、突き放されているって思考に埋め尽くされちゃう。
「言っただろ、【あんたには、もう俺は必要ない】って」