恋愛倶楽部 -love-
否定したかった。
そんなこと言われてないよって。
「あたしには、凪兎は必要な人だよ」
救ってくれたのは凪兎でしょ?
話を聞いてくれたのも、慰めてくれたのも。
「それに、電話だって凪兎が大切な人だから───」
「俺には、あんたの気持ちなんか関係ない」
話を聞いてもらえないのは、すごく悲しい。
伝えたいのに伝えられないのは、すごく悔しい。
「俺は最初から、期限つきであんたに近づいたんだ。
だから今日が、終わりの日」
耳を塞ぎたくなった。
目を閉じて、現実を拒絶したくなった。
「ヤダ、そんなの嘘だ。
ねぇ、嘘って言ってよ」
止めたって、無駄なことくらいわかってる。
わかってるけど、こうするしかない。
「俺と仲良くするってことは、仲間を裏切るってことになる。
それを、ちゃんと考えろ」
教えられた言葉は、鋭利な刃物となって心を突く。
どっちも選べない。
どっちも大切で、どっちも失いたくないから。
欲張りになるのは、いけないこと?
迷いが、自然とあたしと凪兎を引き裂いた。
力の抜けた手から、ぬくもりがするりと離れてく。
両方を追って両方を失う結果が怖いあたしは、友情を選ぶ他に道がないの。
たとえ、自分の恋愛を切り捨ててでも。