恋愛倶楽部 -love-
「お怪我はありませんか!?」
駆け寄ってあたしの腕を掴む。
「大丈夫だよ、大袈裟だなぁ」
あんまり勢いよく来るから、びっくりして退いて。
それに気がついた牡丹は、慌ててあたしから距離をとる。
「すみません」
ちょっと照れた笑顔を浮かべると、今度は寿羅へ向けられた視線。
「あら、もう女性恐怖症は治ったんですか?」
「は?」
対して眉間にシワを寄せて、牡丹を睨む寿羅。
すると、さっきのセリフを証明するようにあたしと寿羅の間を指差した。
「仲良しみたいで何よりです」
そんな嬉しそうに笑わなくても。
何事かと寿羅と顔を見合わせて、お互いに視線を下げていく。
「「あ、」」
気づいたのは、ほぼ同時。
「ばっ、ちげーよ!」
慌てた寿羅が手を引っ込めた。
手、繋ぎっぱなしだったの忘れてたわ。
「寿羅さん、顔が真っ赤ですけれど」
「うっせーな、ほっとけ」
相変わらず楽しそうな牡丹が、少しだけ怖いのはあたしだけ?
気が済んだのか、しばらく笑ってから牡丹があたしの手を握る。
「では、帰りましょうか」