恋愛倶楽部 -love-



優しい笑みで、優しい口調で、導いてくれるけどさ。


「え、どこに?」

「今日は──いえ、今日も私の家でお泊まりです」


はい?

あの、ちょっ…!


「牡丹、待って。
何それ、聞いてない」

「待てません、聞かせていません」

「うん、だから待とう、ね!?」

「いいえ待てません、さぁ乗ってください」


急すぎる展開。

いや、さっきから少しは気になっていたんだ。


どうして寿羅が助けに来てくれたのか、とか。

どうして牡丹がここにいるのか、とか。


近くにある車のドアを開けて、無理矢理にあたしと寿羅を乗せる。

やってることが強引すぎて、全然状況把握できないんだけど。


走り出した車からは、もう降りるわけにもいかず。



「どういうことなの、ねぇ!
牡丹、寿羅、」

助手席にいる牡丹は、騒ぎ立てるあたしを完璧に無視してる。

隣に座った寿羅は、窓の外へ顔を向けていて。


「寿羅、どういうこと?」

答えてほしくて、相手の腕を両手で掴む。


「触んな」

嫌そうに振り払われて、思わず膨らました頬。

そんな様子を見ていた牡丹が、ようやく説明をしてくれた。



「昨日ゆずゆちゃんが帰った時、心配だからと寿羅さんが後をつけていたらしいんです」

「んなっ、バカ、それじゃストーカーだろーが。
たまたま、方向が一緒だっただけだ」





< 317 / 432 >

この作品をシェア

pagetop