恋愛倶楽部 -love-
窓の外から、今度は牡丹のほうを向いて入る訂正。
あたしは黙って2人の話に耳を傾ける。
「それで、ゆずゆちゃんが誘拐されるのを目撃して車を追いかけたそうで」
「おい、無視すんな」
とは言っても、ほとんど牡丹が一方的に説明してくれてるだけだけど。
横では、その説明の一部に否定する声。
まぁ……そんなことが、あったわけか。
要約するに、何だかんだ言って結局寿羅は優しいよってとこかな。
今回も、そのパターンで。
実際、毎回最後は優しいんだよね。
それは寿羅に限らず、他のみんなも。
「よく車に追いつきましたよね。
やはり、愛の力は無敵ということでしょうか?」
「愛なんかねーよ」
悪びれもなく口元を緩めて話を続ける牡丹に、繰り返される反発。
「つーか、てめーも気をつけろよ」
「は?あたし?」
ついには苛立ちの矛先があたしに向いたらしい。
自分を自分で指差して聞き返せば、容赦なく棘を刺してくる。
今さら怒られても、もうどうしようもないんだけど。
「少しは身の危険を察しろ、バカ。
自分も守れねーで、どうすんだよ」
まだまだ終わりそうにないお説教に、頭痛が。
言われてることが事実だから、否定して終わらせることもできない。