恋愛倶楽部 -love-



窓の外から、今度は牡丹のほうを向いて入る訂正。

あたしは黙って2人の話に耳を傾ける。



「それで、ゆずゆちゃんが誘拐されるのを目撃して車を追いかけたそうで」

「おい、無視すんな」



とは言っても、ほとんど牡丹が一方的に説明してくれてるだけだけど。

横では、その説明の一部に否定する声。



まぁ……そんなことが、あったわけか。

要約するに、何だかんだ言って結局寿羅は優しいよってとこかな。


今回も、そのパターンで。

実際、毎回最後は優しいんだよね。


それは寿羅に限らず、他のみんなも。



「よく車に追いつきましたよね。
やはり、愛の力は無敵ということでしょうか?」

「愛なんかねーよ」


悪びれもなく口元を緩めて話を続ける牡丹に、繰り返される反発。


「つーか、てめーも気をつけろよ」

「は?あたし?」

ついには苛立ちの矛先があたしに向いたらしい。


自分を自分で指差して聞き返せば、容赦なく棘を刺してくる。

今さら怒られても、もうどうしようもないんだけど。


「少しは身の危険を察しろ、バカ。
自分も守れねーで、どうすんだよ」


まだまだ終わりそうにないお説教に、頭痛が。

言われてることが事実だから、否定して終わらせることもできない。






< 318 / 432 >

この作品をシェア

pagetop