恋愛倶楽部 -love-



「学校に行ったら奏斗さんが、ゆずゆちゃんも寿羅さんもいないって言っていたので心配になって」


ん?

じゃあ、寿羅は欠席したのか?


「ゆずゆちゃんのケータイに電話したら話中だったので、寿羅さんにかけたんです」


話中……だったんだよね、うん。

思い出して、つい自分のケータイを握りしめた。


凪兎の番号、登録しよう。

それくらい、いいよね?



「そしたら、寿羅さん、昨日からずっとゆずゆちゃんのいる部屋を見張っていたそうで」

「え?」


見張って、ってどういうこと?

わからなくて寿羅を見る。


「いつゆずゆちゃんが逃げてきても助けられるように、一晩中近くにいたかったんでしょうね」

聞こえてくる説明はしっかり耳に入れて。


「寿羅……」

名前を呼ぶと、一瞬こっちを見てから窓へ顔を向けてしまった。

それから、少し乱暴な口調で告げられる。


「暇だったんだよ、別に助けてやりてーとか思ってねーし?
むしろ、近くにいたくねーし」


かなりヒドいこと言ってくるけど、まぁ、今回は許そうじゃない。

助けてくれたのは事実。

近くにいてくれたのも事実。


あたしがちょこっと大人になって引いてあげれば、


「寿羅、」

「…んだよ」

「ありがとう」


顔を合わせる度にするケンカも、少ーしだけは減るのかな?






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