恋愛倶楽部 -love-





広がる畳の匂い。

髪を撫でる生ぬるい風。

夏を思わせる風鈴の可愛い音色。



車から降りたあたしたちは、牡丹の家で昼食をご馳走になってから


「暑い…暑すぎる…」

「やべー‥死ぬ」

「扇風機、持ってきますね」


自宅であるかのように、畳に寝っ転がってる最中である。


バタバタと部屋を出ては、重たそうに扇風機を運ぶ牡丹。

運び終えると、タオルで丁寧に顔の汗を拭っていた。



「あー牡丹、オレかき氷食いたいっ!
シロップは苺にコンデンスミルクな!」


はい?

今の声って?


「では、みなさんでかき氷つくって食べましょうか」


敷居を跨いだ向こう側の誰かさんと、普通に会話が成り立っている。


上半身だけを起こして隣を見ると、仰向けになった寿羅もこっちを見た。

明らかに不自然だもの。


どうして、この場で聞き慣れた声がするのか。

というか、ここにいること自体がおかしい。



「ですが、その前に」

にっこり笑った牡丹が、強引に襖の陰から引っ張り出すと

「ゆずゆちゃんと、仲直りしてください」

突き飛ばされたその人が、転んだ衝撃であたしを押し倒した。



「………ななななな.何なの!?
てか、どけ!離れろ!」

「いてっ、いでででで」






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