恋愛倶楽部 -love-
話によると、風音は最近元気がないらしい。
それはまぁ、寿羅からも教えてもらってたけど。
誘おうと牡丹が電話したところ、あたしの名前が出た瞬間切られたんだとか。
仲直りなんて、なかなか簡単にはいかないんだろうな。
「牡丹、オレ様リクエストの甘々かき氷は?」
奏斗と仲直りできるのは、こいつがお人好しすぎるからなのか。
「少し待っていてください。
今、準備してますので」
素直にかき氷作り出した牡丹のほうが、よっぽどお人好しだけど。
「ゆゆは何味ー?」
なんか、いきなり普段通りすぎて調子狂うっていうか何というか。
暑さを吹き飛ばす冷たい氷を味わいながら、ふと思ったことは内緒。
今更、突き放されてから気づいてしまった。
「なあっ、水遊びしよーぜ!」
はしゃぐ奏斗を追いかけて、空を仰げば浮かんでくる。
せっかく引いた汗が、太陽の眩しさで復活して。
両手で持った涼しげな透明の器に纏わりつく水滴。
早くも溶け始めたかき氷を何回か口に運んだ後、笑顔をつくって縁側から外に出た。
今更、気づいても遅いのにね。
認めるのが怖くて、認めなかった自分が憎い。
人って、どこまで欲張りなんだろう。
仲間が1人戻ってきてくれただけで、また別の望みを抱いてる。
凪兎に、会いたいなぁ………