恋愛倶楽部 -love-
確かに、ここまで来たらお風呂入っちゃったほうが手っ取り早いよね。
汚れたまま部屋に居座ったら、部屋まで汚れる悪循環だし。
うん、納得。
牡丹に促され、何気なく奏斗へ視線を向けた時だった。
え………?
なんで、こっち見るの。
ばっちりと合った目。
違和感から焦ってしまう。
それを知ってか知らずか、目を逸らさずにそのままこっちへ来る。
なに………?
表情が笑ってないから、いつもより怖く感じて。
触れられる距離まで来ると、やっと奏斗は笑顔を見せた。
「髪に土ついてんじゃん。
ドジだなー、まったく」
おどけてみせて、あたしの髪へ手を伸ばす。
なんだ、この妙な緊張感。
毛先の土を払ってくれる手つきは、無論優しい。
けど、どこかよそよそしさも含んでるような。
「奏斗さん、行きましょう」
「おー、ちっと待って」
牡丹に呼ばれ、行動がわずかに急ぎ出す。
「はい、完璧」
気が済んだのか髪から手を離すと、あたしの頭をポンと叩いてから部屋へと進んで行った。
牡丹に押され、風音はもちろん奏斗も廊下へ。
縁側に残されたあたしは、ただただ3人の影を見つめるだけ。
「鈍いな、てめー」
そう、寿羅と一緒に。