恋愛倶楽部 -love-



楽しさだけを求める黎緒先輩が、いないからだろうか。

それとも、あたしが紅珠沙に捕らわれた事実があるからだろうか。

はたまた、仲直りしたばかりだからだろうか。


布団の配置に、勝負を賭けていた過去は嘘のよう。


「ゆずゆちゃん、隣同士で寝ましょう」

穏やかに微笑む牡丹に、誰も何も言わない。


「怖い夢見たら、すぐにボクを呼んでね!
助けてあげる」

風音に関しては、あたしから最も距離のある場所を選んだ。


同じ部屋で眠る。

それは変わらないことなのに、みんなの対応が以前とは違う。


「そんじゃあ、オレは風音の隣で寝る。
おやすみ」

布団に入って、すぐに目を閉じる奏斗。

なんか、調子狂うな。

みんな静かすぎない?


違和感から生じる、居心地の悪さ。


「……おやすみ」

すっきりしないまま、あたしも布団に潜り込んだ。




明日からどうしよう。

今まで通り生活していればいい?

もし黎緒先輩に会ったら、どんな顔をして何を話せばいいの?


凪兎には、もう会えないの?


いや、会えないんじゃない。

会おうとすれば会えるもん。

ただ、また突き放されるのが怖いんだ。




あたしは、これからどうすればいいんだろう。






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