恋愛倶楽部 -love-





目を閉じて、開いた時に¨ここ¨にいられるのは奇跡。





夜中、自然と目が覚めてしまった。

まだ外は薄暗い。

再び目を閉じようと、寝返りを打って初めて気づく。



あれ、牡丹───?



隣で眠っているはずの仲間がいない。

慌てて起き上がって周囲を見渡すと、人の気配がまったくなかった。


あるのは抜け殻。


みんな、どこに行っちゃったの!?

驚きと焦りの中で、部屋を出て廊下を歩く。

押し寄せる不安。


あたしが寝てる間に、何かあったの?

それとも夢?

試しに頬を引っ張ってみると、やっぱり痛い。


夢なわけ、ないよね。



………と、ある部屋に明かりが灯っているのを見つけて。



恐る恐る近づいて、引き戸に手をかける。

深呼吸して開けようとした時、聞こえてきた声に力が抜け落ちた。



「そっかぁ、風音くんはお化けが苦手なのねーっ」

このテンション、この声………


「だからね、寿羅を護衛につけたの!」

予想的中。

扉を挟んだ向こう側にいるのは、おそらく牡丹のお母様と風音。


「なんで夜中にトイレ行くだけで護衛が必要なんだよ、意味わかんねー」

そして、たぶん寿羅も一緒。






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