恋愛倶楽部 -love-
「ホントはゆゆを連れて行こうと思ったんだけど、」
「いや、やめろ。
てめーに振り回されてる蘭がいい加減不憫に見える」
「うん、だからね、寿羅を護衛に───」
「そういう仕事は明日に頼め」
普段通りと言えばそうなんだけど、始まった言い合い。
2人って、こんなに仲良かったっけ?
「奏斗はダメだよ。
ゆゆの話すると機嫌悪くなるんだもん」
へ?あたしの話?
突如出てきた──いや、寿羅の口からも久々に苗字を言われたけど。
とにかく、自分のことが関係してると思うと気になってしょうがない。
盗み聞きするつもりなんてないけど、俯いたまましばらくその場に佇んだ。
「奏ちゃんは仕方ないわよー。
あのコ、去年からそうだったもの」
「去年?」
「あー、風音くんはまだ入学してなかったものね。
寿羅くんも」
牡丹のお母様、完璧にみんなの名前覚えたな。
寿羅とも普通に話せてるって、ちょっと尊敬。
「奏ちゃん、面倒見いいから心配なのよ。
ゆずちゃんのこと」
「面倒見っつーか、あいつ遊び人だろ」
「……ううん、遊び人っていうのは奏斗がつくってる嘘だと思うよ。
昔はどうだったか知らないけど」
3人の会話に、聞いちゃいけないことを聞いてしまった気分になる。
「ね、牡丹ママ、ボクね、ゆゆが大好きなの」