恋愛倶楽部 -love-



ねぇ、亜蓮。

今日は、すがりつくために来たんじゃない。

刻印のことなんて、別に関係ないんだよ。


いくら考えたって、やっぱりあたしは亜蓮と敵同士だなんて思えない。

大好きだったし、きっとこの先もずっと大好きだと思う。


けど何か違う。

あたしが大好きなのは、今の亜蓮じゃない。

あなたとの思い出だけが、今もずっと好きなんだ。


このままじゃ、前に進めないよね?


だからね今日は、あなたへの断ち切れない想いを、終わらせるために来たの。



「バイバイ」


それだけ、どうしても伝えたかった。

本当は、友達に戻りたいって言いたいけど。


「あと、聞きたいことがあるの」

友達に戻ったら、曖昧な関係になりそうで怖かったから。


「凪兎は、亜蓮の仲間なの?」

変わりに、確認したい事実を口にする。



何も答えずにベッドに座り直して、あたしを見て。

あたしも、まっすぐ送り返す視線。



先に目を逸らして、テーブルに置かれたタバコとライターを取りながら亜蓮は答えた。


「凪兎をおまえに近づけたのは、俺だ」


その答えは、すぐに内容が理解できなくて。

だけど紛れもなく、凪兎は俺の仲間だ、そう言われている気がした。






< 343 / 432 >

この作品をシェア

pagetop