恋愛倶楽部 -love-



抵抗する術を知らなくて、勢いのままにベッドの上に膝をつく。


「別れた時に、覚悟はしてた」

耳元で聞こえる、掠れるような小さな声。


一瞬、何が起こったのかわからなくて。

気づけば背中に回る、亜蓮の腕。


「おまえが華を刻んだら、別れた意味ねぇだろ」

「亜蓮……?」


忘れていたぬくもりが、懐かしく蘇る。


「誰かのものになるって考えた瞬間、手放したくなくなった」


びっくりしたことで胸がいっぱいで、すぐに言葉を返せない。


ただ、亜蓮のぬくもりがすぐそばにある。

呼吸してるのも、心臓の鼓動も、互いに届いてしまいそうなくらい。



「どうしたの、急に」

理由を尋ねたらダメ。

そんなこと、わかってるよ。


けど、それしか声にならなくて。


「急に……おまえがほしくなった」


告げられた感情が、またあたしを乱してく。

バイバイを言いに来たのに、引き止めるなんてズルい。



「やめてよ。
今さら、何言って───」

「好きなヤツができたとか、最初から全部嘘だったんだ」

「え……?」



焦って話す相手に、頭が全然ついていかない。


やめて、言わないで。

もう遅すぎるから、お願いだから言わないで。



「戻って来いよ、ずっと好きだった………今も」






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