恋愛倶楽部 -love-



泣いてる様子が想像できなくて、ついしかめっ面になる。

本当に、謎ばっかり。


今まで出会った人の中で、もしかしたら1番わかりにくい人かもしれない。



続いていた緊張感が、1人になったことで緩んでく。


初めてこの部屋に入った時には、異常にドキドキしたっけ。

そうそう、あの時はアルバムを見てて───



思い出しながら、不意に自分の座った隣を見ると視界に入ったソレ。


開きっぱなしのアルバム。

たぶん、凪兎が見返したまま放置したんだろう。

他にも、いろんなものが出しっぱなしになってるから。



迷う間もなく、アルバムを手に取って開く。

最初からじゃない。

最後から。



あたしに見せようとしなかった最後の写真。

それは、どんな写真なの?



捲る瞬間ぎゅっと目を閉じて、捲り終えてから恐る恐る開いてく。

あたしの瞳に真っ先に映ったのは、真ん中で笑う凪兎の姿で。


その写真を見た瞬間、以前凪兎が隠した理由がはっきりした。



………闇紫苑。



そこにあるのは、あたしの知らない場所。

笑う凪兎の隣には、亜蓮もいるし他の人たちもいる。

見覚えのあるその顔は、きっと自販機の前で亜蓮と再会した時に近くにいた人たちだ。




認めたくない事実が、認めざるを得ない事実として胸に突き刺さった。






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