恋愛倶楽部 -love-



理由を尋ねたかったけど、知ったところで何もしてあげられない。

あたしって、とことん無力だなぁ。



しばらくして、そばを離れたぬくもり。

こっちを見ずに、告げられる。



「もし敵じゃなかったとしても、俺があんたの幸せを壊した」

その声は静かに、いっそう重く。

「あんたは、俺と一緒にいないほうがいい。
いちゃいけない」


そんなことないのに。

耳を塞いで現実から目を背けたい。



「俺は……あんたの味方には、なってあげられない」


凪兎は、どんな気持ちなんだろう。

どんな気持ちで、何を考えているんだろう。


「わかってる。
それでも、あたしは───」

「頼むから、俺の前から………消えて」


息が、詰まりそうだ。

呼吸するのが、つらい。



それでも、あたしは………。


言わせてもらえなかった。

最も、伝えたかったこと。


たとえ敵でも、凪兎が味方になってくれなくても、構わない。

ただ、一緒にいたくて。


気づいちゃったの。

あたしは、キミに恋をしてる。

突き放されても、やっぱり好きだよ───。






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