恋愛倶楽部 -love-



「てめーケンカ売ってんのか」

案の定、顔を引きつらせて寿羅が奏斗の陰から現れた。


「あ、いたの。
小さすぎて見えなかったわ」

「だから、てめーはケンカ売ってんのか。
買うぞ、ぶっ潰すぞ」


最初に比べたら、寿羅もみんなと馴染んだよね。

牡丹とも普通に話せてるし、ひょっとしたら女苦手も治ったんじゃない?



「あ、そういやぁ風音がゆゆのこと探してたぜ」

「風音が?」

「部室に行けば会えるんじゃん?」


間に割って入ってくれた奏斗のおかけで助かった。


「ということだから、じゃあね寿羅」

「は!?待てコラ」


待てって言われて、素直に待つ人なんていないと思うよ。

言い合いをするのも面倒だから、急いで教室から飛び出した。



……自分の幸せ、かぁ。

あたしの幸せって、何なんだろう。


まず、幸せの定義からして難しいもんね。

不幸があるから幸せがあるわけだけど。

だとすれば、幸せになりたいって願ったところで幸せになれるなんて保証できないし。


今の状態が、気づかないだけで幸せだったなら、不幸を味わってからじゃないと次の幸せは来ないし。



「蘭さんっ」

思案しながら渡り廊下を歩いていると、背後から呼び止める女の子の声。






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