恋愛倶楽部 -love-
誰だろう、と振り返ればこれまた懐かしいコが。
「うわぁ、木仲さん!」
「えへへ、お久しぶりです」
綺麗な髪を風に揺らして、お辞儀をしてくる。
慌てて、あたしもお辞儀をし返した。
「誰だろうって思ってたから、びっくりしちゃったよ」
「あ、えっと…近いです」
再会に喜んで迫るあたしに、向けられる苦笑い。
「ごめんごめん」
つい、クセで。
同じ学校にいるのに、学年が違うだけで全然会えないんだもんな。
いつぶりだろう、顔を会わせたの。
「蘭さん、最近元気ないって聞いたんですけど…大丈夫ですか?」
首を傾げて、不安げな表情を浮かべる。
「うん、大丈夫だよ」
そんな不安を消すように、一生懸命明るく返事。
木仲さんにまで心配かけちゃうなんて、迷惑極まりないじゃん。
「ん?てか、なんであたしの情報が木仲さんの耳に?」
学年違うし、めったに会わないのに。
膨らむ疑問は、答えを聞いてすぐ解決した。
「風音くんがいつも話してるから、私の学年では蘭さんは有名人ですよ」
あぁ、ニコニコの笑顔が眩しすぎるよ。
確かに、数週間前までは風音がぶっ壊れてたからな。
あたしの名前叫んでたみたいだし……。