恋愛倶楽部 -love-



新たに生まれる、くすぐったい感情。

そっかそっか、これが恋か。


やっと認められるようになって、久しぶりに恋愛をしたような感覚。

恋に落ちたのは、いつだったかな。



泣いてしまったあたしを、抱き寄せて慰めてくれた瞬間?

一緒に街を歩いて笑った瞬間?

雨の中を歩くあたしを、見つけ出してくれた瞬間?


たとえ事故だとわかっていても、押し倒されればドキドキした。

相合い傘が嬉しかった。

電話を通して聞こえた声に、安心したのを覚えてる。

突き放されて、存在の大きさにやっと気づけたんだよ。


ひょっとしたら、あの埃っぽい物置状態の倉庫で、初めてキミと出会った日かもしれない。

一目惚れなんて言ったら大袈裟だけど、何か惹きつけるものがあったのは間違いじゃない。


いや、出会ったのは、あの日が初めてじゃないのかも。




たどり着いた部室のドアを開ける時、一瞬だけ躊躇った。


……黎緒先輩は、いつから気づいてたんだろう。

春海とは、本当に恋人同士なのかな?

もしそうなら、つらいよね。


刻印がある限り、お互いに敵でしかないなんて。




【じゃあっ、大切な人と敵同士で、でも大切で、そんな矛盾した関係だったら───】


あの時のあたしは、亜蓮を浮かべて聞いていたけど

【どうするかって?】

キミは何を思って答えたの?






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