恋愛倶楽部 -love-
「で、なんであたしのこと探してたの?」
危うく聞きそびれるとこだった。
いろいろと考えることがありすぎて、古い記憶がどんどん忘れてっちゃう。
「あ、あのね、黎緒先輩のパソコン……」
「パソコン?」
欠伸しながら立ち上がって指差された先。
山積みになった資料やらから、開きっぱなしのパソコンが顔を覗かせる。
たぶん、風音がいじって開いたんだろう。
あたしは黎緒先輩がいつも使ってる机の前に行って、再び風音を見た。
「ちょっと前にね、黎緒先輩が【パソコンの管理、蘭さんと一緒によろしくね】って」
パソコンの、管理?
あたし機械音痴なの、黎緒先輩知ってるよね?
不思議に思いつつ、パソコンの画面に目を向ける。
表示されているのは、パスワードの入力画面。
「ねぇ風音、パスワードって?」
表示画面の理由が知りたくて尋ねると、涙を浮かべた目をこすりながら隣まで来た。
「なんかね、途中まであるのに最後が抜けてるの」
ほら、と見せられたのは付箋紙。
そこには、右上がりの字でアルファベットと数字が並んで書かれてる。
ただ、最後だけが【△△△】と記されていた。
「ここに何か入ると思うの。
だからね、それをゆゆなら知ってるかなって」