恋愛倶楽部 -love-
知らない?と聞かれ、しばし考え込んで。
パスワード……3つ。
それまでの文字が、アルファベットと数字の混合だから最後もそうなのかな。
「黎緒先輩の誕生日とかは?」
思いつくものを、とりあえず挙げていく。
「ボク知らないよぉ?」
「えっと……8月9日」
「あはは、3つじゃないねっ。
じゃあ、黎緒先輩の好きなものとかは?」
他人事みたいに笑われて、苦笑しながら口を開く。
「好きなもの、ね……聞いたことないけど」
思いつくものと言ったら、ピアノとか?
でもアルファベットにしたら、3文字じゃ収まらないよね。
「ゆゆぅ、がんばってよー」
あたしの腕にしがみついて、ぴょんぴょん跳ねながら急かしてくる。
黎緒先輩が、パスワードに使いそうなもの……。
黎緒先輩の好きなもの……。
忘れなさそうで、思い出せるものだよね?
「風音はパスワードのこと、何にも聞いてないの?」
頼まれた本人がヒントを知らないとか、絶望的すぎるでしょ。
「うーんとね…わかんないね」
「結局わかんないんかい」
あぁもう、しっかりしろあたし。
たった3つなんだよ。
それさえわかれば………
「お2人で難しい顔をされて、どうかなさったんですか?」