恋愛倶楽部 -love-
◆黒蓮華
「さて、と」
ノートを閉じて立ち上がる。
窓際の真ん中に位置した席。
大空を望めるあたしの特等席だ。
開いた窓からは、夕焼けが誰もいない教室に差し込んでいて。
しばらく大空を眺めてから、静かな教室をあとにした。
向かう先は、もちろん───
「ごめーん、遅れちったぁ」
高2の春、あたしがつくっちゃった倶楽部。
その名も、¨恋愛倶楽部(らぶ)¨!
の部室兼活動場所。
メンバーはあたしを含め全5人。
倶楽部をつくった理由はいたって単純。
ほら、他人の恋って面白いじゃん?
だから、楽しみつつ恋の悩みを解決しちゃおう的な。
あ、注意事項としては、倶楽部内恋愛は禁止だよ。
「蘭さん、早かったね」
電気のついていない教室に、唯一のオレンジ色の光。
その眩しい光に包まれて立っているのは、ただ1人。
腕を組んで、窓を背にこちらを見ている。
て、1人だけ!?