恋愛倶楽部 -love-
「俺も」
そうして耳元で囁く。
「へ?」
「あんたのこと好きだよ」
ドクンと脈を打ってぼーっとしている間に、繋がれた手を引っ張られて。
不思議な気分で並んで歩く静かな月夜。
今までとは、何かが違う。
だけど、あたしたちは前と何も変わってない。
凪兎が刻印のことを、どう考えてるのかはわからないけど………
それでもいいと思えた。
もう大丈夫。
刻印は背負っていかなきゃいけないけど、敵視する必要なんてないんだよ。
牡丹のお母様が言っていたように、敵の敵は味方。
紅珠沙を敵視していたあたしたちは、きっと味方でいられる。
ねぇ、凪兎。
あたしはずっと、好きな人の幸せが自分の幸せだって思ってた。
それが“愛してる”ってことだって。
けど……今までならそれで良かったのに、今はダメなの。
もっと近くにいてほしいし。
ずっと隣にいてほしい。
そうじゃなきゃ、あたしは幸せにはなれない。
もし、あたしと一緒にいることで、大好きな人が幸せになれないとしても。
無責任だけど、あたしが幸せだから、それでいいの。
時々は、そう思うのも悪くないよね?