恋愛倶楽部 -love-
◆黒蓮華
「ゆずゆちゃんが幸せそうで何よりです。
私たちラブのメンバーは、他人の恋を応援するのが活動内容ですからね」
いつもながら、クラスの違う牡丹と廊下を歩きながら雑談。
現在、夏休み真っ最中である。
ただし、課外授業に出る人や個人で自習をやる人、部活動のある人にとっては登校日。
「お母さんも、またぜひ大勢で遊びに来てほしいと言っていました」
「いやー‥大勢じゃなくても」
「なので、闇紫苑のみなさんも誘ってお泊まり会でもやりましょうね」
うん、今出たね。
牡丹の得意技、スルー。
闇紫苑って、絡みにくいんだよね。
なんて言うのかな、独特なオーラっていうか。
腹黒い人はいないのに、悪気がない行動でトラブルを運ぶっていうか。
「あ、でもさ、ほら、牡丹のお兄さんが困るんじゃない?
大半男子だし」
しかもシスコンだし。
大きな声じゃ言えないけど。
「それなら心配無用です。
私から話せばきっと───きゃっ」
角を曲がったところだった。
このまま延々と話していそうな牡丹の勢いが、一瞬でなくなる。
「危ねーよ、ちゃんと前見ろ」