恋愛倶楽部 -love-
なんだかんだで、けっこうみんな忙しいらしい。
そもそも、部活掛け持ちしてるから当たり前か。
あたしはみんなと違ってすることもなく暇だから、先に部室に行って待ってよう。
階段を下りきって、渡り廊下を目前にした時。
「ゆゆ、みーっけ!」
……うわ、会っちゃったよ。
前方から笑顔満開で抱きついてくる可愛い顔の男の子。
最近の悩みは、身長が伸びないこと。
たぶんね。
……いや、それは寿羅か?
「あのね、ゆゆにプレゼントあるの!」
元気いっぱいに訴えてくる風音に、思わず苦笑いをしてしまう。
「うさぴょんの新しい色違いバージョンが出たんだよ。
ゆゆにあげるね」
そんなキラキラした瞳で、こっちを見るな。
危うく見とれるところだっただろう。
「部室に置いといたから見てね、絶対だよ!」
「はいはい、ありがとう」
風音って、長く一緒にいても扱いが難しすぎて大変なんだよね。
弱点も聞いたことないし。
ひょっとしたら無敵かもしれない。
「2人とも、こんなところで何してるのかな?」
と、たった今階段を下りてきたらしい黎緒先輩の声が。
しかも、どこか楽しげだから油断できない。