恋愛倶楽部 -love-
可哀想だけど、ごめん。
あたしには、風音を救えるほど勇気がない。
「風音ー、一緒に過ごした日々は一生忘れないからねーっ」
もうすぐ見えなくなりそうな被害者めがけて、大声で伝える。
ついでに手も振ったりして。
「ボク、ゆゆと結婚するまでは死ねな──痛いっ、うわぁぁあああ」
学校中に響く悲痛な叫び声。
さよなら風音、あなたのことは忘れない。
……やっぱり、黎緒先輩は敵に回しちゃいけない気がする。
やっと肩の力を抜いて、たどり着いた渡り廊下。
校庭からは部活動をしてる人たちの行き交う声。
青春だなぁ。
見ていて暑くなってくるけど。
そんな中、知ってる姿を見つけて思わず足を止める。
あの男の子、木仲さんの彼氏さんじゃなかったかな。
背の高い彼は、サッカーをやってる真っ最中らしい。
ということは、木仲さんもどこかに……
見渡して姿が視界に入った瞬間、なぜか今イラっとした。
楽しそうに笑って話す木仲さんと
「後輩口説いてんじゃねぇよ、遊び人」
同じく楽しそうに笑って話す奏斗。
「おっ、ゆゆじゃん。
今いいとこだから説教なら部室行ってからな」
ニコッと笑いかけられて、悪寒が。