恋愛倶楽部 -love-



その組み合わせで仲良くならないでほしい。

大親友の奏斗は、あたしのことよく知ってるし。

凪兎は大好きな人だから、隠しておきたいこととかあるし。



「ここおいで」

立ちすくむあたしに、凪兎は自分の隣をポンポンと叩く。

それでも、隣に座ることに抵抗があって。


風音に言われたことを思い出し、あたしの席に置かれた箱を手にした。


可愛くラッピングされた箱。

丁寧に開ければ、見慣れたうさぴょんが顔を覗かせる。


「なにそれ?」

凪兎が、座ったまま尋ねてくるから。


「うさぴょんだよ」

目の前まで行って、うさぴょんを突き出す。


「へー、可愛いじゃん。
あんたに似てるね。
誰かからの贈り物?」

受け取って見ると、そんなことを言い出して。


「うん、風音がこのぬいぐるみ好きみたいだよ」

答えるあたしの腕を引っ張って、無理矢理隣に座らせた。


それから、引き寄せるように肩を抱かれて。

「……どうしたの?」

びっくりして聞き返せば、優しい声が近くで聞こえる。


「別に。
こうしたくなったから、こうしただけ」



深い理由は教えてくれなかったけど、それでもいっか。

ぬくもりが心地よくて、そのまま体を預ける。






< 411 / 432 >

この作品をシェア

pagetop