恋愛倶楽部 -love-



静寂な時間は束の間。



「それよりさ、さっきの独り言なに?」

「へ!?」


独り言って、部室に入ってすぐのヤツだよね?

まさか聞かれてると思ってなかったから、質問に冷や汗。


「なんの、ことかな?」

黎緒先輩がよく不都合をかわす時に使っているセリフ。

でも、こんなことで誤魔化せるはずもなく。


「誰を誰にも取られたくないの?」

うわ、もうダメだ。

完全に聞かれてた。


半分あきらめて、恐る恐る話し出す。


「奏斗が……誰かに取られるのが嫌だなぁ、って」

「奏斗?なんで?」

「大親友だから。
別に自分が付き合いたいとかじゃないんだよ?
でも、誰とも付き合ってほしくなくて」


この気持ちって何なんだろう。

仲良くなりすぎると、こうなるのかな。

誰のものにもなってほしくないとか、まるで奏斗がアイドルみたいじゃん。


……言い出したの自分なのに、考えると吐き気催すんだけど。



「怒ってる?」

抱きしめられてるから、相手の表情が見えなくて。


「怒ってないよ」

返ってきた声音にほっとする。


「でも、ちょっと妬いたかも」

続けて言われた言葉に、ドキドキして。

すごく嬉しくて。






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