恋愛倶楽部 -love-
「闇紫苑の栄光を称えて」
高1の冬、外は雪が降っていた。
「「「かんぱーい!」」」
ぶつかったグラスが立てる音と、いつもの面子が騒ぐ声。
すっきりしない気分で、ずっと視線は窓の向こう側。
この日は、闇紫苑がトップになった日。
お祝いしたいと言い出したヤツのせいで、闇紫苑のうちの1人──というか、
「おまえら、人の家来て未成年が酒飲むなよ」
なぜか俺の家で打ち上げ状態。
「朔、散らかすなら片づけてから帰れよ」
「おうっ、オレが漫画は全部持ち帰ってやるから綺麗に───」
「ならねぇよ」
読みかけの漫画を奪い取って、そいつを蹴り飛ばす。
綾口朔(アヤグチ サク)、1つ年下のガキ。
背は、はっきり言って低い。
確かこの時は、まだ中学生だった。
「足は人を蹴るためではなく、前に進むためにあるものだ。
其方は、小学校でそう学ばなかったのか?」
「……あんたに学習云々を言われても説得力ないよ。
その喋り方どうにかなんないの?」
「うむ、生まれつきの個性である」
いや、個性とか生まれつきじゃないだろ。
静かに食事をするこいつは、門倉終(カドクラ シュウ)。
1つ年上の変わり者。
絡むと単純にめんどくさい。