恋愛倶楽部 -love-
信用できないけど、禁止事項と注意は伝えたし。
これで明日、部屋が大惨事だったら全員蹴り飛ばしてやる。
急いで最低限の荷物だけを手に、出た自宅。
親がほぼ仕事で家にいないから、自由で助かるけど。
こうなると、もう家に友達は呼びたくないな。
行き先──つまり宿泊先を決めるために、開いたケータイの電話帳。
できれば静かなところがいい。
ツッコミがいらないような。
「もしもし亜蓮さん?
今夜暇?同衾でもしない?」
『欲求不満なら女でもつくれ』
そうそう、俺がボケでいられるくらいの。
亜蓮さんが俺んちに来なかった理由の用事が何か、よくは知らなかった。
けど、どうせたいしたことじゃないんだろうって思ってたんだ。
『凪兎、おまえに頼みがある』
電話越しの声が、いつもと違うことに気づくまでは……。
「頼み?」
途中、自販機で亜蓮さんの好きなミルクティーを買って。
「お土産なら買ったけど?」
何気ない風に言葉を返す。
本当は何かあったんだって、察してたよ。
亜蓮さんが頼み事なんて、めったにないことだったし。