恋愛倶楽部 -love-
今思えば、聞かされた時はめちゃくちゃ驚いたっけ。
『今日、別れた』
頼み事の前の説明は、たったそれだけ。
「は?別れたって?」
それまで俺は、亜蓮さんに彼女がいたことすら教えられてなかったし。
「なんで?ケンカでもしたとか?」
ぶっちゃけ、説明不足すぎて意味がわかんなかった。
『俺からふった』
「へー‥なら問題ないじゃん」
軽く流したかったのが本音。
他人の恋愛とか、知ってどうこうするもんじゃないし。
だけど、そんな簡単なことじゃなかったんだ。
亜蓮さんの別れ話は、迷った末に出た判断で。
『なぁ…おまえだったら、闇紫苑としてトップになった今、好きなヤツとそのまま付き合ってるか?』
亜蓮さんは、自己中心的な俺とは違う。
『闇紫苑自体が知られるようになったら、あいつまで狙われるかもしんねぇ』
大切な人を、そばに置いておかなかった。
『あいつには、ちゃんとした場所で普通に生きてほしい。
俺がいる世界とは、別の場所で』
大切な人を、あえて突き放すことで守ろうとしていたんだ。
「そんなに好きなんだ?
その女の子のこと」