恋愛倶楽部 -love-
しかも、早かったねってなんすか。
「他のみんなは?
あたし、活動時間30分遅刻して来たんですけど」
なんで、みんないないわけ?
「こっちから呼びに行かないと、誰も来てくれないかもね」
楽しそうに笑いながら、近づいてくるこの人は
「僕が呼んでこようか?」
メンバーのひとり、梨城黎緒(ナシキ レオ)先輩。
銀色のストレートな長い髪を右側で緩く結んでる。
左の瞳は髪で隠れていて見えない。
あたしが去年一目惚れした相手。
綺麗な顔立ちに、高身長、さらにお金持ちで天才的な頭脳の持ち主。
そりゃあ惚れるっしょ。
こんな王子様みたいな人、世界中探したってなかなかみつからないよ。
ただその一目惚れだとか憧れだとか、そういうのは過去の話。
今はどうしても、少し距離を置いてしまうと言いますか。
「それとも、一緒に呼びに行く?」
少し屈んで、先輩とは対照的なあたしの黒い髪を指で弄られる。
「ご.ご心配には及びませぬ。
あたしだけで、大丈夫ですから」