恋愛倶楽部 -love-

◆素直になれなくて






「ゆゆはボクのなんだから、触っちゃダメー!!」

「誰も触ってねーじゃん、まだ」

「なるほど。
これから触る予定なんですね」

「蘭さん、いい匂いするね」




あぁぁああ、誰かヘルプ!



あたしに背を向け、目の前で両手を広げる風音。

風音を突破しようと奏斗が口論する。

傍観しながら、不必要な解説をするのは牡丹。



そして風音に無意味に守られている、あたしはというと

「このまま一緒に抜け出しちゃおうか」


黎緒先輩に、背後から両手を取られ耳元で囁かれる始末。



絶対おかしいでしょ、この状況。



思い返せば数分前、木仲さんの想い人である直樹くんを待ち伏せするはずだったのに。


風音と奏斗によれば、直樹くんはサッカー部らしい。

そこで、部活終わりを狙って好きな人がいるかを直球で聞き出そうという計画。


ほら、やっぱり木仲さんが告白する前に相手に好きな人がいるか知っとくべきじゃん?



牡丹はいきなり聞き出すのは違う気がする、とか何とか言ってたけど。


「梨城先輩、先駆けですか?」


奏斗はやる気満々みたいだったし、風音も反対しなかったし。

黎緒先輩に関しては、面白そうだからいいんじゃない?って。






< 61 / 432 >

この作品をシェア

pagetop