恋愛倶楽部 -love-
たった今、何かに気づいたように質問を投げかけられ
「いえ、特には」
さらっと返した言葉に、なんでだろ。
「黎緒先輩、なぜに苦笑いですか?」
珍しいな。
いっつも苦笑いよりも妖艶な笑み、もしくは悪戯な笑みを浮かべる人なはずだよね。
どういう風の吹き回しだ?
「あのさ蘭さん、今すごいことに気づいちゃったんだけど」
すごい…こと?
なんだか、とてつもなく嫌な予感。
「校門で待ち伏せても、直樹ってコの顔がわからないと思うんだ」
………あ、本当だ。
突如、脳内で響くガーンという効果音。
しまった、やってしまった。
「奏斗か風音がいないと、あたしたち2人じゃダメですね」
木仲さんから名前を聞き、所属している部活を奏斗と風音に教わった。
けど、肝心の顔がわからない。
なんたって、直樹くんを知っているのはメンバー内であの2人だけ。
学年が同じ風音と、一応サッカー部の奏斗。
せっかくここまで来たのに。
また部室に戻るのは絶対ヤダ。