恋愛倶楽部 -love-



部室でのざわめきに巻き込まれるなら、顔がわからない人を待っているほうがマシだよね?

ただ、それっぽい人を探すだけでいいんだから。



うーん……はて、どうしたものか。


腕を組み、悩みながら足を進める。

どうせここまで来たんだ、校門付近彷徨いてよう。


サッカー部っぽい人が通ったら、話しかけて直樹くんのこと聞く。

うん、そうしよう。




「ダメって言ってる割には、待ち伏せする気満々に見えるけど?」

覗き込むようにして、黎緒先輩が尋ねてくる。



「もちろん、やる気満々ですよ。
ここで引き返したくないですもん」


負けず嫌いだね、とか言って笑われるけど。

まぁ、いっか、事実だし。



「気長に待ってりゃ、そのうち直樹くんだって捕まえられますよ」

あたしは、あんまり“気長”に待つのは得意じゃないんだけど。




「蘭さんのそういう無計画さ、嫌いじゃないよ」

「先輩、それ褒めてんですか、けなしてんですか」

「さぁ?どっちだと思う?」



あれ?まさかのクイズ形式。

質問したのは、あたしのほうなのに。






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