恋愛倶楽部 -love-



「ご.ごめんなさい、ぼーっとしちゃって」

慌てた牡丹のか細い声が響く。


ぶつかった相手は、見知らぬ男の子。

少し長めの前髪は両側に分けられて、外ハネした髪は赤味がかってる。



誰だろ?

後輩?それとも先輩?


風音よりはあるけど、身長はそこまで高くない。

ってことは、後輩か。

あ、でも、先輩でも中途半端な身長の人いるよね?


うーん、なんでだ?

全然見覚えのない顔だなぁ。



「ちゃんと前見て歩けよ」

観察していると、謝った牡丹に彼が返したのは不機嫌そうな注意だけ。



ふと目が合って、あたしが愛想笑いを振りまけば

「ジロジロ見てんじゃねーよ。
退け、てめーら邪魔」

風音と共に邪魔者扱いをされる。



なんだと、初対面のくせに生意気!


ダルそうに去る後ろ姿に、思わず内心で文句を叫んだ。



マジ、ムカつくわ。

木仲さんには申し訳ないけど、さっきの直樹くん並みにムカつくわ。






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