恋愛倶楽部 -love-
………それなのに。
「松永くんは、基本的に女の子が苦手みたいだね」
黎緒先輩に騙された!
寿羅が頬を赤くしてたのは、恋じゃなくて単に照れていただけだと!?
「「ふざけんじゃねー!!」」
机を叩いて立ち上がったあたしと、奏斗に飛びかかった寿羅が叫んだのはほぼ同時。
「鼓膜がやーぶーれーるー」
わざとらしく耳を塞ぎ始めた奏斗に多少のイラつきを覚えつつ。
「てめー、耳塞いでんじゃねーぞコラ」
今は寿羅が代わりに言い返してくれてるから、あたしからの一撃はまた今度。
「あの、結局状況はどうなっているんでしょう」
ハテナまみれの牡丹は、ギャーギャー騒ぐ2人の間を抜けやって来る。
状況を理解する必要があるもんね。
はい、改めてご説明します。
松永寿羅くんは転校してきた男の子。
放課後に部活動見学をしていた、その帰りに牡丹と衝突したらしい。
その時、黎緒先輩のとある情報によりあたしは誤解します。
寿羅は牡丹に一目惚れしたんだわ、と。
そこで翌日、まずは牡丹が寿羅に謝るために2人を会わせる。
あたしが寿羅を無理矢理連れ出したのは放課後の部室へだったから、そのまま恋愛倶楽部に入れさせた。
もちろん、それも無理矢理ね。