恋愛倶楽部 -love-



「原因てめーだろ!
他人事みてーな面してんじゃねーぞ!」

うっわ…今度は怒鳴る相手、奏斗からあたしに変更かよ。

まさに目の前の人物は鬼の形相。



「そーだ、そーだ。
原因はゆゆなんだから、どうにかし───いっ、いてっ、痛いって」

オマケの奏斗の反論にイラッとして、思いきり髪を引っ張る。



あたしが原因。

間違ってはいない。

でも黎緒先輩も原因。

なぜ、みんな黎緒先輩を責めない?

なぜ、あたしばかりを悪者にする?


あぁそうか、黎緒先輩はすでに悪者だから悪者にはできないのか。



混乱を始めそうな頭の中で、納得させる答えをひたすら探していると

「寿羅さん、私のせいで迷惑をかけてしまって……本当にごめんなさい」

今にも涙を零しそうな牡丹があたしをかばうように前に出た。



「どうか怒らないで。
私、寿羅さんが入部してくれたらすごく嬉しいです」

そうして、寿羅の片手を両手で包み込むように取る。


「ダメ…ですか?」


まるで澄みきった鈴の音のように、声が紡がれて。


「な……あ…え?」


頬を赤く染めた寿羅に、焦りが見えると

「いいですよね、ありがとうございます。
これから仲良くしましょうね」

焦って相手が喋れないのをいいことに、強制的に物事が運ばれていく。






< 92 / 432 >

この作品をシェア

pagetop