恋愛倶楽部 -love-
相手を無視して物事を進める必殺技、その名もスルー。
牡丹、いつの間にこんな技を覚えていたの?
ひょっとして、これさぁ染められたんじゃない?黒く。
うん、計算し尽くされてるもんね、行動も。
あんな涙溜めた瞳で見つめられたら、たいていの男はやられるっしょ。
まさかの純情天然キャラから、小悪魔疑惑浮上中。
「ゆゆ、髪の毛痛い」
あ、忘れてた。
掴んでいた奏斗の髪をパッと離す。
「はい、消毒液。
ばい菌さんバイバーイ」
離した直後、どこから持ってきたのか風音の手には消毒液。
素直に両手を広げると、シュッとそれがかけられた。
「オレはばい菌扱いか!」
なんか隣からツッコミが聞こえるけど、たぶん気のせい。
「あれれぇ?空耳かなぁ?」
「あのな風音、オレ先輩、あんた後輩。
だからもっと先輩を敬え」
「うん、空耳だぁ」
「聞けよ!」
あぁ、なんか平和だ。
すんごく平和。
呆れ半分で再び視界を巡らせば
「あれ、寿羅ってば顔真っ赤だね」
牡丹と話を終えてポーッとしている彼に気づいた。